2013年12月22日日曜日

【Radio】コミュニティFMの作り方 検討編④ 2つのタイプをどう選ぶか?その前に。

前回のエントリーから1月程経ちました。シリーズでお送りしております「コミュニティFMの作り方」。これまで、コミュニティFMをマスメディア型、ソーシャルメディア型の2つに分類し、それぞれのメリット/デメリットについて考えてきました。

それぞれのタイプを「会社概要」「売上状況」「番組作り」で説明してきましたが、今回から3回にわけて「どうやって選ぶ?」を考えてみたいと思います。

いくつかの視点があるのですが、一番分かりやすいのが「ボランティアの有無」です。運営にボランティア参加を促すにはメリット/デメリットがあります。そして、もう1つの基準が「資本形態」と「運営主体」です。これによって、スタート時に物理的な制約が生まれるため、ここはほぼ選択肢がない、というのが実際のところです。

この連載を見ている方の視点で言えば、実際には引っ括めて「経営」なのですが、前者のボランティアの有無は「運営の視点」、後者の資本形態や運営主体は「経営の視点」として、敢えてわけて考えた方が良いかもしれません。

さて、今回は、それらを考えるにあたり、その前提で常に見ておきたい「コスト」のお話します。とにもかくにも、すべては「コスト」とのバランスが大切です。

【番組制作のコストについて】
基本的には生放送の方がコストがかかりません。この場合のコストとは、何も出演者のギャラ的な金銭だけでなく、むしろ番組を作る手間を指します。
まず、1つは出演者、担当者の占有時間です。仮にスタッフの基本給を22万円とした場合、1ヶ月22日勤務で1万円/日。つまり、1250円/hとなります(まぁ実際にはそんな簡単なことではありませんが、ここでは話しをシンプルにするためにわかりやすくしております)。
で、1時間番組を収録して放送する場合、収録の後、編集作業があります。収録時間が1.5時間くらいの場合、編集するのに2〜3倍くらいの時間を要します。つまり、1時間の番組を作るのに、3時間かかる。3750円かかる、というわけです。仮に、1日に1時間担当すると75,000円/月が番組制作にかかるコストです。その間、スタジオも使えない、パソコンも使えない、もちろん、人は張り付いたまま、となります。
逆に生放送であれば、事前の準備に同様の時間をかけても、そこで終了。スタジオに入るまでは同じですが、その後は収録の場合の1/3となります(この視点で収録コストを下げる方法もありますがそれはまた別の機会に)。
さて、一方、編集とはどんなことをするのか?ということですが、単純に言えば「無駄を省く」ということです。果汁50%の1リットルのオレンジジュースで、100%のものを作ろうと思えば、500mlしかできません。1リットル欲しければ、2リットルの50%ジュースが必要となります。
つまり、内容次第ではありますが、ディレクターとしてOKラインを設定したら、それに見合った収録時間と編集時間が必要である、ということです。このことから、番組制作のコストとコンテンツの面白さはトレードオフの関係にあると言って良いでしょう。NHKの番組がおもしろいのは「コストをかけられる」というのが最大の理由です。

【その他のランニングコストについて】
番組制作のコストをランニングコストと切り離した理由は、基本的には売上に左右しにくいからです。例えば、放送素材の管理には、自動送出システムというのがあるのですが、これは全時間帯の番組を管理するテーブルを作って、それに乗っ取って放送素材が流れる仕組みです。なので、「どの時間に何を流すか」を常に全時間帯管理することになります。これはCMがたくさん入っていようかいまいが、24時間管理することは最初から最後まで変わらないわけです。むしろ、その素材制作の方がコストがかかります。クライアント数も増えれば係る時間も増え続けます。

その上でランニングコストを見ると、管理スタッフの人件費、家賃、光熱費、各種会費、放送素材の仕入、税金、システム管理費などがそれにあたります。ここはとにかく抑える、いかに抑え続けられるかがカギになります。

以上のことから、継続した運営には、
①番組の制作コストと面白さの関係をどの程度の基準で保つか。
②ランニングコストを如何に低い水準で維持できるか。
の2つがポイントとなるわけです。

ということで、次回は、コストとのバランスという視点から「ボランティアの有無」についてお話をしていきたいと思います。

2013年11月24日日曜日

【閑話】AppleのSIMフリー版の販売は、デジタルコンテンツ市場の発展と切り離せない関係にある。


AppleのSIMフリー版の販売。
そもそもAppleの戦略って?なんてことをFacebookで書いたのだが、むしろ、モノづくり企業の仲介業と通信事業者の仲介業の違いがより明らかになったことの方が興味深い。

丁寧なつなぎやさんを目指す弊社ブレスとしては、このAppleの戦略を勉強せずにはいられない!ということで、ちょっと考えてみましょう。

さて、ここで言う「モノづくり企業」とは、Apple、「通信事業者」とは、携帯電話各社、「仲介業」とは「コンテンツ販売」を指します。つまり、デジタルコンテンツ市場を横目に見ながらでないと肝心なところが見えません。

Appleは体験を提供するモノづくり企業。故に、何ができるか、ということを発信し、それができるのは、コレだよ、と製品を宣伝している。一方、携帯電話各社はまさに電話の契約数を取るための活動をしている。故に、うちの電話と契約すれば、こんなサービスが受けられる、と宣伝する。

Appleの場合、iPodを発売したのが2001年10月だが、iTunesのリリースは、2001年の1月で、それを考えると、それ以前にコンテンツ企業と、配信を前提とした契約を結ぶ方法を模索し終わっていた、のではないかと思われる(詳しくは後述)。

iPodで抱えたユーザが、iPhoneやiPadのユーザへと移行したり、iPodもiPhoneもiPadも製品を更新し、それぞれの製品が新たなユーザを抱えることで、iTunesの売上が落ちることはまずない。

一方で、auはリスモ、docomoはdミュージック、SoftBankはMUSICBOXと、iTunesの業態の上辺を見て、デジタルコンテンツの配信を整備したが、結局、付け焼き刃のような事業なので、売上を伸ばすのは相当な困難となる。なぜなら、契約数と売上が直結してしまうことと、それにデジタルコンテンツの販売に特化した製品市場も別にあり、それらを踏まえて、デジタルコンテンツ販売の市場に参入するというのだから金持ちしかできない。
ユーザからしてみたら、パソコンでも電話でも携帯型のデジタル製品でも、コンテンツに触れるのはなんでも良いけど、結局映像はテレビが良いし、音楽は持ち運べるのが良い。コンテンツ事業者は、販売窓口が増えれば単純に売上アップは望めるので、やりたいという事業者には、どうぞ、どうぞ、となるでしょう。

Appleは、自社の製品をコンテンツ化するために、メインとなる、音楽、映像、というコンテンツを抱えて、デジタルコンテンツ市場を下支えする製品作りを行って来たので、必然的に成長が望めるわけです。

他が取り合いを前提としている脇で、すっすーっと自社の価値を高めている。

日本の通信事業者は、シェア争い故に、他社との違い、自社の強み、を前提とした競争戦略が必要であるのに対して、Appleの戦略は、因果関係の積み上げによって作る競争戦略となる。理想的な競争のカタチだ。そう、本来は、競争にライバルはおらず、あるとすれば、自社は「何を」提供するのか?というシンプルな問いの中にある想いだけなのだ。想いに、良い、悪い、はないので、競争から抜け出すことが最強の戦略と言える。

なぜ、Appleはそのような戦略に行き着いたか、世界を1つの市場と見ているから。iTunesが日本市場で失敗しようとAppleにとっては大した問題ではないのだ。世界の市場における日本のシェアは、決して小さくはないだろう。だが、一方でアメリカから世界を、デジタルコンテンツという市場を、しっかり見つめて、その中に自社の製品がどうあるべきかを見据えているので、必然的に、日本もAppleの戦略の流れに逆らえなくなるのだ。つまり、遅いか早いかの時間の問題ではなく、結局は、Appleの戦略通りに日本市場は動くようになる。

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独り言:さて、弊社ブレスは「つなげる」をキーワードに活動している。nunotechでは、繊維産業において、様々な企業、技術、想いをつなげていく活動をしているわけだが、AとBをつなげるとき、ただつなげるのではその先に展開はない。つなげることで、成長を描けることが大切。その強みを提示することが、弊社がつなげることの意味になる。
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iTunesというアプリケーションで、デジタルコンテンツ市場を切り開いたAppleの戦略は、すでに大きな渦となり、引き戻されることはない。

デジタルコンテンツ市場にとって大切なのは、コンテンツをデジタル化する技術が本質ではない。その理由はAppleの戦略を見ればわかる。AppleのiTunesが素晴らしいのは、「まずは自分が買ったコンテンツをデジタル管理する」というところからスタートさせたことだ。この最初の一手は、レコード会社や権利団体のガードを下げたに違いない。だが、この後の展開は、権利者は予想していなかったのだろう。

「自分が買ったCDをデジタル管理する」→「買ったコンテンツを持ち歩きたくなる」→「デジタルコンテンツとして買いたくなる」→「デジタルコンテンツ市場が生まれる」

2001年1月  iTunesリリース
2001年10月  iPodリリース
2003年4月 iTunes Music Storeオープン
2006年8月 映像配信を開始してiTunes Storeに名称変更

デジタルコンテンツの市場がいよいよ大きくなりだした。
コンテンツをデジタル管理から、デジタルコンテンツの販売まで、2年以上を費やしている。如何にその間に既得権益者と戦っていたのか、想像するだけでワクワクしてしまう。そのあたりを映画化してほしいな。
で、本題。そして、

2007年6月 iPhoneリリース

結局、ここまで来てしまえば、ユーザは「電話もできるプレイヤー」を選ぶことになる。写真、動画を楽しみ、ついでに通話なのだ。

SoftBankは、国内でiPhoneの販売権を得て、それ以降はご存知の通りだが、実際には「ついでに電話ができるプレーヤー」を電話事業者が、躍起になって獲得しようとしていたに過ぎないのだ。そのついでの電話のiPhoneがいよいよ国内の3つの事業者を相手に、本領を発揮してきたのだ。大事件。

コンテンツと親密な関係を築くことで、自社製品をコンテンツ化させたAppleの戦略は、間違いなく進む。早い、遅いは大した問題ではなく、もう止めることはできないだろう。

では、通信事業者はどうあるべきか。

純粋に、電話を売ればいいのだ。それに今気づいているのは、ウィルコムだろう。回線は引いてある、メンテをするだけのコストなら、過剰サービスで通話基本料を暴利する必要はなく、電話に特化したサービスをすべきなのだ。だが、通信3事業者は、大きくなり過ぎた。

このように因果関係を丁寧に見て行くとなるようになっていることがわかる。さらにその視点で企業を見ると、いく末も見えてくる。だからこそ、弊社では「つなぐ」ことを徹底してサービスしたいと感じてる。

さて、いくつかの成果が今年中にお目見えすると思います。お楽しみに!

2013年11月20日水曜日

【Radio】コミュニティFMの作り方 検討編③ ソーシャルメディア型コミュニティFM

しばらく空いてしまいましたが、この間にいろいろな発見がありました。
特に、ちょうど1ヶ月前に地元桐生で開催したKiryu Music Fronts 2013は、様々な問題提起のある有意義なイベントとなりました。

さて、シリーズでお送りしております「コミュニティFMの作り方」。これまで、コミュニティFMをマスメディア型、ソーシャルメディア型の2つに分類し、それぞれのメリット/デメリットについて考えてみようと進めてききました。

今回は、今オススメしているソーシャルメディア型コミュニティFMについてのお話です。前回同様にヒト、モノ、カネについてお話していきましょう。開局相談でよく聞かれる「会社概要」「売上状況」「番組作り」です。



まずは、「モノ」会社です。
チェックポイントは、「資本家と経営者」の関係です。さらに2つのタイプに分けます。
【資本家=経営者の場合】
 ・大企業も含めて中小企業にも多いタイプだろう。
 ・基本的にはワンマン経営になりがち。
 ・基本的には同族経営になってる。
 ・よくも悪くも身の丈にあった経営になりそう
 ・ポイントは公共電波であることと個人の擦り合わせをどこに取るか、という点。
 ・個人が公人としての視点をどれだけ持てるのか、という点。
【資本家≠経営者の場合】
 ・会社の運営方法としては一般的だがコミュニティFMのように「強い想い」
  みたいなものが出発点の場合、よほどの限り、これはないかと。。
 ・経営のプロが居ると心強いし、そうでないと大変です。
 ・ちなみに、FM桐生はこのパターンです。
【共通】
 ・小回りは効きやすい。
 ・意思決定までの時間が短く、意思決定のハードルは比較的低い。
 ・コアメンバーの資質が体制の資質と近似してくる。
 ・人が中心となるため、既成事実からの移行にハードルがある。
 ・一方で、横断的な協力体制が作りやすい。
つまり、連携・協力の傾向強い。



次に、「カネ」売上状況です。
チェックポイントは、ここでも「売上の比率」です。
 →放送事業の売上の中身について聞いてみてください。
 ・個人のネットワークは営業でも活かされて、まったく知らないところへの
  営業は割合的に低くなる?
 ・比較的小額、スポンサー数が多くなる傾向がある。
 ・スポンサー数が多いと軒並み右へならえみたいなことも減りリスクが減る。
 ・相手が多いということはケアの方法も考えないとね。
 ・ただし、ある時に営業先、売上が、頭打ちになる。
 ・そうなると新しいところをどうやって開拓するかがカギ。
 ・新しい人を入れて、リーチできる先を増やすのも1つ。
というわけで、人が組織の中心になると、お金のメンでも連携と協力がカギ。



最後に、「ヒト」番組作りです。
チェックのポイントはマスメディア型と同じく「自主制作比率」です。
 →コンテンツの多さは関わるヒトの多さに直結します。
 ・関わる人が多いと管理の仕方も変わる。
 ・コンテンツを人に委ねることで管理コストの軽減ができる。
 ・定期的に意識の確認などを行っていきたい。
 ・関わる人が多いと聞く人も多く、ある段階でリアクションも増える。
 ・番組をやりたい、という声が集まりやすくなり、
 ・結果、さらに番組に関わる人が増える。
 ・新たなコミュニティとの繋がりなどが、そのままコンテンツ数に直結
 ・まさに芋ずる式でコンテンツ量は増えていく。
 ・増えることでクオリティのばらつきが生まれる。
 ・定期的に交流会などを企画してみたりして、ボランティアも含めた
  スタッフ同士が切瑳琢磨しやすい環境を作れる。
というわけで、連携、協力がカギ。CD寄贈したいんですけど、なんて方もたくさん現れてきます。


このように、ソーシャルメディア型だと、想いを持った人から派生して、連携・協力の輪が広がるイメージなんです。ジワジワと確実に認知度、参加者が増えていくことになります。関わる人が多いということは、接点が増えるためトラブルがちになります。ただし、これは、トラブルにならないようにすれば良いのであって、関わる人を減らせば良い、ということではありません。

結局は、どんな放送局であるべきか、どんな放送局にしたいのか?が大切なのです。もっと言えば、なぜ、ラジオをやりたいのか?というところから積み上げて行くことで、自ず自分の身の回りのことが見え、自然と道が開けて行くものです。

関わる人が多くても、同じ失敗を体験したり、体験を共有することで、自社の文化が生まれてきます。その言語化が実に難しいところでもあります。

さて、次回は、マスメディア型とソーシャルメディア型の2つから、自社の文化をどう作るのか、という点についてお話します。



2013年10月25日金曜日

【Radio】みんラジワークショップから生まれた番組「ステファン一家」

FM桐生は、主に夜の時間帯を「市民制作枠」として開放している。
基本、ボランティアで参加するその枠には、およそ70人くらいの方が関わっている。

その時間に、1か月に1度だけ放送する番組が第4金曜日の21時から放送する「ステファン一家」だ。

この番組の母体となったのは、みんラジというワークショップのメンバー。ラジオに興味や関心のある人を、FacebookやTwitter、ホームページで募集して、集まって来たメンバーによって生まれた番組である。

ワークショップを開催して、その中で、皆さんが面白いと思うこと、ものはなんですか?という質問から始まり、皆が面白いと思えるものの方向性を見いだし、さらに、各自が企画を出してメンバーにプレゼンし、全員が手を上げた企画だけ抽出している。
さらに、それらの企画を1つの番組にまとめて「流れ」を作ろうとしていた時に、吉本の新喜劇や関西で放送している「ほんわかテレビ」の話題になり、結果、それらの企画を許容するには、全編ドラマ仕立てにしよう!と盛り上がりを見せて、結果できた番組が「ステファン一家」ということなのだ。

さて、この番組、実は、番組だけを放送することが目的ではない。ゆくゆくは、番組を通して、ファンになってくれた方と共に、八木節でギネスに挑戦することが目的なのだ。
ギネス挑戦にかかる費用、参加者の募集、それらの調達をこの番組をきっかけに実現していく。

当初は、挑戦する内容を発信すれば人は集まってくれるんじゃないかと思っていた。だが、メンバーの1人が、「実際に、逆の立場だとして、『ギネスに挑戦しよう!集まれー!』と言われたって行かないよね?」という素朴だけど明快な問いに対して出した結果が、全編ドラマ、いや、コント仕立てにしよう!だったのだ。


では明日、夜9時にお会いしましょう。
リハで実感しましたが、生でコントをやっていくのは大変でした(笑。
今回は、私はいち出演者として、役柄を頂いて登場しております。どこまで出来るか、自分でも不安ですが(笑)、メンバーと共に楽しみ、聞いている人が吹き出してくれれば幸いです。ラジオはまだまだ楽しくできるんじゃないかと思っています。

2013年10月18日金曜日

【Radio】コミュニティFMの作り方 検討編② マスメディア型コミュニティFM

シリーズでお送りしております「コミュニティFMの作り方」。今回と次回でソーシャルメディア型とマスメディア型、2つのコミュニティFMのヒト、モノ、カネについて、お話します。私が関わるFM桐生は、ソーシャルメディア型寄りなので、マスメディア型はヒアリング等によって得た見地であることをご了承ください。

開局相談でよく聞かれるのが、「会社概要」「売上状況」「番組作り」あたりでしょうか。その他に聴取率なんてのもありますが、運営に関わる内容ではないので省きます。

まずは、「モノ」会社概要です。
チェックポイントは、「行政が資本参加をしているか、いないか?」
 →運営企業に資本参加しているとマスメディア型になる傾向は強いです。
 ・公共施設や公共空間にスタジオや事務所を構えやすくなる。
 ・第3セクター方式だと大手メーカーのコンサルを入れたがる。
 ・その結果、高価な専用放送システムでスタジオが作られる。
 ・機材は壊しちゃいかん!となり、スタジオ卓を触れるのは局内の数人になる。
 ・このヒトがいないと困る、という状況だと人件費も高くなることもアリ。
 ・その結果、役割分担が明確になる。
というわけで、管理統制の傾向に向かっていきます。


次に、「カネ」売上状況です。
チェックポイントは、「売上の比率」です。
 →放送事業の売上の中身について聞いてみてください。
 ・30%超えとか40%超えとかは規模によりますが、
  放送事業に巨大スポンサーがいることが多い。例えば行政だったり。
 ・地域の大手企業が軒並み出稿していたりする。右へ習えで全員参加。
 ・仮に全員撤退に右へ習えとなることを想像すると恐ろしい。
 ・代理店を入れて対応し、リスクとコストを軽減するのもアリ。
 ・各企業へしっかりした対応をするには担当者を明確にしよう。
というわけで、やはり、管理統制の傾向に向かっていきます。


最後に、「ヒト」番組作りです。
チェックのポイントの1つが「自主制作比率」です。
 →コンテンツの多さは関わるヒトの多さに直結しがち。コミュニティ放送では、60%以上ということで、過半数を目標にしましょう、と言われています。
 ・よほど優秀な人材でない限り、番組作りは担当者のカラーの域を出ることはない。
 ・関わる人が少ないのは、視点の少なさに繋がり、出せるカラーが偏りがち。
 ・執行部の守備範囲を出る案件の判断はしにくい。
というわけで、どうしても管理統制の傾向に向かっていきます。


このように「出資に行政が参加している」のは、管理統制の方向性に向く最大の要因です。資本の中身次第ではありますが、行政の資本がベースにあるなら、スタート時は管理統制の方向になりそうですし、実際、その方が無理なく行きそうです。ただ、その労力/コストを考えると....実に悩ましいところです。

では、なぜ前回の記事で、ラジオ局とリスナーの関係を考えることが大切か、と申し上げたかと言いますと、進むべき行き先を、ぼんやりとでも常に見つめていく必要があるからです。コミュニティFMに限らず、会社の運営には、スタートとゴールを、状況を加味した戦略で繋ぐことが大切です。よって、スタート地点をしっかり意識し、そして、向かう先も常に見つめているべきなのです。

さて、次回は、ソーシャルメディア型のコミュニティFMでも同様に見ていきたいと思います。

2013年10月10日木曜日

【閑話】3000 vs 1 ってことではないよね?

コミュニティFMの話題は一休みして、今日はある出来事を取り上げてみたいと思います。

*簡単にまとめようかと思ったのですが、元の記事をごらんください。

さて、このお話、いかがでしょうか?私はどうにもモンモンとしてしまいました。閉鎖の理由(法律違反)はわかるのですが、その対応がどうにも解せないのです。

ネットでの反応はいくつかあり、例えば「1人のクレームで皆が不幸?になるのはどうか」というもの。その1人が悪という構図。または、「なかなか同情できるんだけど、え?法律違反か!なら仕方ないじゃないか」という話。両方わかります。


さて、反対署名は、撤去に対してのことでしょう。そこで疑問が生まれます。
これだけ人に使われたりしているのであれば、手順は逆になったとしても、現状設置された工作物に対して許可申請を行うべきではないかと思うのです。3000人の要望と共に。
法律的な根拠など持ち合わせておりませんが、数年間使われて来て、コミュニティができるくらいの状況、手続きはされていなかったとしても、公益の既成事実があったと言えるのではないかと思うのです。であれば申請をするのは自然だし、それに対して行政も真摯に受け止めることを期待したいです。

でも、これまでは「たまたまクレームがなかっただけ」とも言えるかもしれません。

それも、昼夜逆転で仕事している人が居て、たまたまクレームになった、というのが実際のところなのではないかと思います。騒音の規定もあるだろうし、それ以前に、すでにたくさんの人が使っていたわけですから。なので、署名はこれまでの数年間での公益の実績を元に、許可を出してください、ということに向かうべきかと思うのです。


そもそも、当初のクレームは音でした。ならば音の対策を講じることで済むはずだったのが、行政判断ではクレームの元凶は根こそぎ刈っておけ!みたいなところで、撤去となりました。「騒音の話」が「無許可の工作物」に問題がすり替わった感じがして仕方ないんです。すり替わったと思う理由は、そもそも許可されていた工作物だとしたら、どうやって対処したのか?という疑問が残るからです。仮に、許可していたとしたら撤去までには至らないでしょう。やはり、音をどうにかしましょう、という話になります。ということは「音の問題」と「無許可の工作物」の話は本来、別々に議論すべき内容だと思います。音に対してのクレームの対応が撤去では、根本的な問題の解決になっていない気がするのです。

それに、仮にですよ、自分が出した苦情がきっかけで、家の前の施設が1つなくなることになり、それに反対する3000人の署名が集まっているとしたら....その3000人に会いたくない。逆に行政の撤去の判断が、自分にとっては迷惑な話です。

「いや、オレは音がうるさいって言っただけなんだけど....」と言うのかもしれません。

でも、結果だけみれば、行政判断での撤去の理由=自分が出したクレーム、という構図になります。もっと言えば、自分のクレームは行政の言い訳に利用されているのではないかとも思えてしまう。仮に彼らと対峙する機会があったらいやだなぁ。狭い街だろうし。そんな面倒には巻き込まれたくないです。

その時「皆さんが河川法に違反していたのが問題なのです。公益のためです。」
って言える人、どれくらいいるのだろうか?

これは、摩擦を恐れるが故に、最初の課題から少しずつズレて、ゴールが見えなくなり、多くの人が不幸になる結末を迎えるって話で、よくある話です。これが本当に残念です。同時に、ただただいずれの当事者になりたくないなぁと強く思ったのでした。


今回の件で言えば、まずは行政側がクレームをもらった家に言って状況を確認して、どうして欲しいかの要望を聞き、その要望をパークの利用者に伝えて、解決出来る方法を考える機会と対応する機会を作る、ってのが正解な気がします。で、それでも折り合わなければ、利用禁止か、撤去となるのかな。逆に折り合いが付いたら、工作物を許可して、よりたくさんの方に楽しんでもらえる公園にしたら良いと思います。

行政はこの手の課題には、もっと御用聞きに徹した方が良いかと。役割は、「当事者同士の意思疎通を計る事で、当事者が答え出すようにナビゲートする」ということです。言い換えれば「決断の責任は当事者に持たせる」ので、決断の責任を行政が追う必要すらないわけです。一番、好みそうなゴールではありません?

個人的に感じるのは、若い世代の中に、対話を好んで落としどころを探そうとするタイプの人が増えている気がします。対立や争いごとを嫌うピースフルな人が増えているのではないかと。マッチョなリーダーとか求められていない感じがしてならなりません。そういう文化に変わりつつあるから、コミュニケーションディレクターみたいな肩書きが生まれたり、コミュニティをデザインする人が生まれたりしているんだと思います。昨今、ワールドカフェ形式で対話を重んじるまちづくり系ワークショップが増えたのも同じ背景ですね。

いっそのこと、市民課に「折り合いを付ける課」を併設して欲しいです。で、行政は決断に責任を取らなくてすみますから、市民に対話の機会を与えて欲しいですね。そして、ファシリテーターは、境界線を引き続けた土地家屋調査士のOBに活躍して頂きましょう(笑)

これで、多少はモヤモヤが晴れた気がします。

2013年10月3日木曜日

【Radio】コミュニティFMの作り方 検討編① コミュニティFMの2タイプ

コミュニティFMの取材をしていると開局までの検討内容と議論の経緯が「どんな局になるのか?」と大きく関ることがわかりました。つまり、逆を言えば、目指したいコミュニティFM局をしっかり見据えて共有していくことで「必要なプロセスを経て開局を迎えることができる」とも言えます。

さて、私は経験上、コミュニティFMのタイプを2つに分類しました。
1つはマスメディア型のコミュニティFM、もう1つがソーシャルメディア型のコミュニティFMの2種類です。今回は、2つのタイプがどんな放送局なのかのイメージをお伝えしたいと思います。これは報道局としての姿勢とも繋り、様々な打ち手と深く関ります。

以下の分類は、単純にどちらか、ということだけでなく、その傾向がある、とお考えください。

【マスメディア型コミュニティFM】
・営業、技術、総務役割分担と担当者付けが明確である。
・指揮系統がしっかりしている。
・ラジオ局=発信者、リスナー=受信者という意識が高い。

【ソーシャルメディア型コミュニティFM】
・担当はあるが基本的にオールマイティ
・現場に委ねる意思決定の範囲が広い
・ラジオ局=「コミュニティの一員」という意識がある。


これからコミュニティFMを作ろう!とした場合、上記の中で私自身が最も重要だと考えるのは、3つ目のラジオ局とリスナーの関係です。

「発信者」という意識をもったコミュニティFMは、情報の正確性と信頼性を重んじます。故に意思決定者を明確にし、ブレない方針と思考であらゆる事柄を決定していきます。さらに各担当を決めることで、スムースな意思疎通と現場との連携を実現します。
そのため、現場で新しい発見があり、基本方針を見直す必要性を感じても、まずは、局内の意思決定者を説得する労力と時間を必要とします。特に新しい技術やツールの導入の際には、そのメリット、デメリットを伝えて判断を煽るという手続きが必要になり、その際に優先すべき事柄は意思決定者に一任されることになります。結果、現場とは全く異なる視点で判断されたりすると、現場の士気が下がるなんてこともよくある話です。
さらに言えば、無償のボランティアスタッフに有償のスタッフと同様の責任を持たせることは難しく、結果、ボランティアに委ねる範囲も少なくなります。情報の扱い方で言えば、公的機関から配信されるもの以外の情報、例えば、リスナーから寄せられる情報は裏取りの方法も含めて、スキームを決めていたり、確認が取れるまでは発信しない、という方針を持っているようです。

一方、ソーシャルメディア型の「コミュニティの一員」というものがどういうものかと言うと、例えば、商店街のお肉屋さんに靴屋さんの奥さんが買い物に行くように、店主とお客という関係は、ロケーション次第で、反転します。このように「情報を発信する人と情報を受信する人がコミュニティ内で入れ替わることを許容する」ということを意味します。この役割の転換は、市民が先生になる市民塾や誰でも先生になれる地域大学の取組にも通じるものがあります。
コミュニティFMに置き換えると、コミュニティの一員であるが故、持ちつ持たれつを基本とし、リスナーにラジオを通して情報を発信しても、時には他のメディアを使ってリスナーと情報を共有してインプットすることも想定しています。さらには組織内にもその文化は反映され、担当は決まっていても明確な役割分担はせず、基本的にオールマイティな人材が増えていきます。そのため、あらゆる場面でお互いのフォローがしやすいというメリットがあります。また、ボランティアにたいしてもそのスタンスで対応するので、多くの責任を委ねる傾向があります。
局内では、最終意思決定者はいたとしても、各担当が現場で臨機応変に対応でき、多くの場面で意思決定を行うことを許容し、その経過と結果を報告することで情報を共有していきます。
もちろん、メリットばかりではありません。現場での臨機応変の度合いに個人差が生まれるので、あの人に頼めば大丈夫だとこの人だと断られそう、みたいなことが起きます。そうると、情報が集まる人、情報を活用出来る人が分かれ出して、結果的に統率が取りにくくなる、という危険も孕んでいます。

以上のように、2タイプを検討して決めることは、コミュニティFMの運営イメージと直結していくことがわかると思います。そして、どちらの方が“私達にとって”現実的かを判断することの重要性をおわかり頂けたのではないかと思います。

例えば、どこかの局にヒアリングを行う際も、コミュニティFMとしてのスタンスを伺って、ご自身の中で「マスメディア型」「ソーシャルメディア型」と分類してみてください。その後、局内の組織体制、ソーシャルメディアの利用状況、ボランティアスタッフの受け入れ、そして、経理状況などを伺ってみてください。そうすれば、スタンスと打ち手の矛盾の有無がわかり、なぜその局がうまくいっているか、または、うまくいっていないのかがわかるが見えてくると思います。


最後にその矛盾の具体例を挙げておきます。
これは私が、あるコミュニティFMの方にヒアリングした際に言われたことなのですが、「ボランティアは無責任だから任せられないので、開局から3年くらいで受け入れを辞めた」とのこと。この一文に、実に多くの矛盾が存在します。
すべてを管理統制していくことを前提としたら、ボランティアの受け入れは慎重にすべきです。むしろ、受け入れない方がいいでしょう。一方で、番組作りにボランティアの必要性を感じるのであれば、それを許容できる体制とルールを作るべきです。例えば、その時間帯を市民枠として、局の制作から完全に切り離すなど。ただ、有償で働く責任ある立場の人が、無償のボランティアスタッフに責任を持たせるという発想自体を改めるべきです。有償、無償問わず、責任感は、インセンティブに起因しますので、無償のボランティアでも、お金以外のインセンティブを与えることで責任感を醸成させることは可能です。逆の立場で考えてみてみましょう。仕事として有償でやっている人に無償スタッフのご自身にもっと責任感持ってもらわないと困るとか、放送に関わる人間として、などと言われたらゲンナリしませんか?
さらに言えば、それでもボランティアスタッフのチカラが必要であれば、管理統制を重んじるマスメディア型のスタンスそのものを見直す必要があるのかもしれません。それほど、この何気ない一文は私に衝撃を与えたのでした。

次回は、マスメディア型の運営の場合、ヒト、モノ、カネの3点がどうあるべきかを考えてみたいと思います。

2013年9月30日月曜日

【Radio】コミュニティFMの作り方 事前準備編② どんなラジオ局にしようか?

私が関わるFM桐生の開局以前、いくつかのコミュニティFMへの取材を行ってみて、様々なコミュニティFMの「メディア」としての姿勢の違いに驚いたものです。

簡単に言えば「同じような局はない」ということ。

それはコミュニティに起因しているからか?と考えていた時期もありましたが、どうも違うようです。それはメディアとしての基本コンセプト、基本スタンスの違いで、このいずれかのタイプから「どっちにしようか?」と選ばなくてはなりません。そして、選ぶと自ずと次々打ち手が決まって行くような根源的な分類なのです。

そのタイプですが、最終系は3つに別れます。ただし、スタート時点では2つです。
いずれかを選ぶということを、まず最初に行わないとなりません。

その2つとは、
①マスメディア型のコミュニティFM
②ソーシャルメディア型のコミュニティFM
です。
その先の③としてあるのが、折衷型として、地域メディア型のコミュニティFMです。
経緯はともかく、コミュニティFMは、最終的に折衷型を目指す、ということにはなりそうですが、その道筋は、最初にどこを選ぶかで大きく変わるのです。

コミュニティFMとリスナーの関係を簡単な矢印を使って示したいと思います。これは実際にどうかよりも「基本スタンス」を示していると考えてください。AとB、強いて言えばどっちが大切?みたいなことです。

「仕事と私、どっちが大切なの?」
「そんなの選ぶものじゃないだろ?」

とはいかず、

「マスメディアタイプですか?」
「ソーシャルメディアタイプですか?」

は選ばざるを得ない問いなのです。



そして、①と②の違いですを「何に主眼を置くか?」という点について言うと、
①は管理・統制
②は連携・協力
です。

では、次回では、2つのタイプのコミュニティFMについての概要を説明していきたいと思います。


2013年9月25日水曜日

【Radio】コミュニティFMの作り方 事前準備編① どんなラジオ局にしたいか?

コミュニティFMの作り方について、何回かにまとめていきたいと思います。

先日、とある企業が、コミュニティFMの設立のためのヒアリングに来てくれました。
だいたいどの局がこられても毎回聞かれるのは3つです。
 ①資本
 ②経理
 ③運営
コレです。

実際、この段階で、つまり、他の局にお話を聞きたい。という状況の時には、多くの場合、電波の空き状況の確認は終わっており、”周波数が取れそうだ”というところまでいって、ようやく「他所でお話を聞きたい」となることが多いようです。

ですが、この周波数の空き状況がわかった時には、運営したい、立ち上げたい、関わりたい、という数名の人が議論を重ねている段階に入っていて、その時にはすでに、運営案の話が出ている状況になっています。


さて、それはさておき、「電波の空き状況はある」「一緒にやってくれそうな仲間がいる」という状態でヒアリングに来ると、まずは聞きたいことを聞きます。
「運営は大変ですか?」と。で、「大変です」と答える
「どんなところが?」となると、売上が、スポンサーが、クライアントが、となる。
「どうやってますか?」となってくると、具体的な打ち手の話を説明し、そんな具合にどのように運営しているかをジワジワと聞いてくるわけです。

ひとしきり聞くと「大変だなぁ」となりまして「どうしたものか....」となります。


で、ここまで来て初めてこちらから質問します。

「では、どんなラジオ局であって欲しいですか?」と聞きます。
そして、「それはなぜか?」と繰り返しながら色々とお話を聞きます。
次に、「どんなラジオ局にしたいですか?」と聞きます。
そして、「それはなぜか?」と繰り返しながら色々とお話を聞きます。

これを繰り返していくことで、相手の方が目指しているラジオ局の姿が見えてきます。
それが明確になり、目的や方向性が見えて、ようやく①資本②経理③運営の話ができるようになります。

というわけで、まず最初は「どんなラジオ局にしたいか?」を明確に持つ事が大切です。
それが無ければ、仲間もお金も集められません。

次回は「どんなラジオ局にしようか?」と題したお話をしてみます。


2013年9月24日火曜日

【閑話】セブンカフェの案内に見る「親切さ」とは?


http://sevencafecoffeemakeradhocsignage.tumblr.com

これ、ちょっと前にも話題になりましたが、なかなか興味深い内容でした。

そもそも説明はなぜ書かれたのか?を想像すると、店員がお客さんに聞かれるのでしょうか。どこかどうなのとか?とか、わからないよ、なんて言われたりしてるのでしょうか。で、こうしたら良い、ああしたら良い、といろいろと案内が追加されていき、各お店が工夫を施しているのかな?なんて感じでしょうか。

その段階で見ると、元のデザインが汚されて?的な批判だったり、様々な創意工夫を創発させるプラットフォームとして面白い、という見方になったりしております。または、説明がないと売れないのかもしれない、ってこともあり得えるのかもしれませんね。


でも、実際に何回か買うと、説明など見る事もなくなり、ボタンも位置で覚えているようになります。お店の創意工夫は見なくなり、ボタンの文字すら読まなくなり、位置で覚えているのがわかります。どのお店にいっても機械が同じなので、迷うこともなく、さっくり買えるのです。そうなると、あのお店ごとの創意工夫というのは、私に取っては「いらぬ苦労」に映るわけです。

そこで、そもそものところに立ち返ります。

お店が案内に創意工夫をするのは、言い方を変えれば、お客さんに聞かれて答えるという行為を避けたことに始まります。そこで本質的な問題に突き当たります。

「お客さんに商品のことを聞かれないようにすることは、果たしてお客さんにとって、親切なのことなのか?」そして「お店にとって有益なのでしょうか?」という問題です。

仮に私がお店の店長だとしたら、恐らく、店員に直接、その都度、説明させていたと思います。興味を持った人に「どう買うの?」「これなに?」と聞かれれば、逆に売れるチャンスだと思うからです。
また、最初に説明を付けるとしても、それは導入時の問合せの多さによる通常業務の遅延や、それによって他のお客さんの迷惑になるのであれば、最初は説明を付けるかもしれません。でも、それはいずれ外される説明となりますので、それ用のものを思案し、タイミングを見て外すでしょう。


お店でお客さんに、セブンカフェについて聞かれた時に、さっと出て行って、店員が近くで身振り手振りで教える。そうすることで、セブンカフェは、店舗とお客さんとのコミュニケーションツールになる。そのようなお客さんとのコミュニケーション、昔ながらの商店の良さみたいなものを、コンビニが提供出来るチャンスと捉えた方が良いかもしれないですよ、というのが私の考えです。

つまり、私は説明を外した方がいい(笑)というスタンスですが、実は、毎回買う度に、逆にややこしく映るのです。さて、今後、どうなるのか、楽しみながら見ていきたいです。

このように、何か新しいものが入った時に、そもそものコンセプトにどう活かせるか?みたいな検討が不十分なまま、他人にとって「いらぬ苦労」に一生懸命になっていたりしませんか?確信がないまま多くの人たちの賛同を得られることによくある出来事なので、そのような場面に遭遇したら、本当にそうなのか?とよくよく考える必要がありますね。

2013年9月11日水曜日

【伝統産業】神師屋.jpとの連携

6月28日に神師屋.jpというティザーサイトがオープンした。
http://kamishiya.jp/130628_kamishiya_PR.pdf

ティザーサイトとは、情報の一部を公開したプロモーション用のウェブサイトだ。
ちなみに「神師」とは、「人気絵師」を指す造語である。

このプロジェクトのメンバーから、繊維製品の商品化についての相談を受けて検討しているところなのだが、その過程で、以前の記事でも書いた「繊維業界における強み」についていろいろと思慮している。

nunotechの活動でわかったのは、繊維にまつわる技術は、どこでも出来るものが多く、故に、何か製品を作ったとしても競争優位には立ちにくいということ。
ライバルが現れ「大量に発注することで価格を抑える」「販路を持ったサプライヤーが製品化に踏み切る」など、そんな想定をしたら、優位に立てるのは一瞬でしかないことがわかるだろう。継続性(10年〜15年程度)が見込めないのであれば飛び込むべきではない。
なぜなら、弊社自体に、技術や資金力や販路があるわけではないので、なるべく継続して取り組めるカタチを作ることに拘っていきたい。かっこ良く言えば、小さな勝負は捨てて、大事な一戦を確実にモノにしたい、ということだろうか。ヒットを打ち続けるという勝者がいることを否定しているのではなく、それは「技術力」に長けている場合でのみ有効な戦略である、ということ。

さて、神師屋とのコラボであるが、どこで優位性を保てるのか?
①人気絵師とライセンス契約を結ぶこと(神師屋)
②製造メーカーのビジネスとの融合を提案すること(nunotech)
③販路を持っていること(神師屋)

nunotechの技術は今のところ「提案」しかない。それぞれのビジネスが成立するような整理を根気よくやっていくことしかないのだ。それも自身のことのように主体的に。

2020年のオリンピックが東京に決まってお祝いムードの中、葛西臨海公園の開発の問題が話題として出て来た。「自然保護の観点で、再開発計画は問題だ!」と唱える人がいると、「知っていたら賛成しなかった!」と言う人がいる。そんな単純な話しだろうか?

時間とお金をかけてやってきたそれぞれの想いがあるものを、全く関わりのなかった立場で、白黒選ぶなんてことは私にはできない。そういう視点でA社とB社のビジネスの融合を真摯に考え、新しい価値を生み出すことをしていきたいと考えている。

オリンピックも自然保護も両立させられる知恵が生まれると信じたい。自分がこれからやろうとしていることの可能性と同じように信じたい。

2013年9月10日火曜日

【Radio】コミュニティFMに必要なものとは?

コミュニティFMにとって、何が一番大切なのでしょうか。

仮に、勝ち抜き線をやったとしたら、何が残るのかな、と考えてみました。AとBを比較して、大切だと思うものを残して、という具合にそれを繰り返していって、最終的に勝ち残るのは何か、です。

私が実際に関わって感じたのは「人が大切」でした。
何かを実施するのに必要なのは、結局のところ、ヒト、モノ、カネ、そしてアイデアです。

コミュニティFMにとってのモノとは、機材でしょうか。真新しい放送用機材にワクワクするヒトが集まってくるかもしれませんが、放送が好き=番組が作れるとはなりません。

コミュニティFMにはカネがある、だと、前提そのものがあり得ないことが多いです(笑。ですが、仮にそうなったとしても、一番の目的がカネでは、やはり番組作りやそこで取組べきことは後回しになりそうです。

コミュニティFMにはアイデアがある、となれば、ヒトは集まってくるかもしれない、カネも集まってくるかもしれない、結果、モノも揃うかもしれない。けど、アイデアを担保し、次々出して行くとすると、アイデアが帰属するヒトとなります。

コミュニティFMには魅力的なヒトがいる、となると、まず、ヒトが集まります、ヒトが集まればアイデアも生まれる。アイデアが生まれて実施できるヒトがいれば、カネもモノも集まります。カネとモノが集まれば、さらに優秀なヒトを雇える。

故に、ヒトが大切と考えました。

では、どんなヒトがいいのか?ということですが、それはまた別の機会にしたいと思います。

2013年9月7日土曜日

【伝統産業】技術の価値。

衣食住の最初にある「衣」。桐生市の地場産業である織物産業は、全ての産業界において、もっとも成熟した業界ではないだろうか。

それ故、企業における技術的な新規性など、ほぼ皆無に等しいと思って構わない。素材が開発される以外は、特許で縛られているものを除けば、繊維の技術は模倣可能である。同様に伝統産業は、多くの場合、模倣の危機にさらされているというわけだ。

さて、繊維業界の方と技術の話になると、皆「うちだけじゃないからね」と言う。だが、その仕事が、今、そこにあることに大きな意味があり、そこには然るべき理由があるのだ。それを紐解いて話を聞いて行くことで、ようやく企業の強みが見えてくる。

nunotechでは、企業の技術を「個性」「精度」の2つの視点で分析している。
両方とも4段階の評価で、それぞれが上位2段階以内、もしくは、片方が上位1段階にある技術であれば競争力がある、と考えた。つまりそれが企業シーズとなる。そして、この企業の強み同士を掛け合わせることでようやく、模倣困難性の高い、競争力ある技術が生まれる、としている。

さて、この企業技術のマトリックスは、歴史の長い産業においては特に有効だと感じる。市場のニーズばかりを見ることよりも、企業のシーズ同士を掛け合わせることに重点を置く事で、企業の既存技術の活かし方に新たな活路が見いだせのだと思う。


2013年9月5日木曜日

【Radio】地域メディアのリテラシー。

9月1日は防災の日でした。そして、9/2〜9/7は、群馬県内のコミュニティFM各局も防災週間として特別企画をお送りしております。いざという時に役立つメディアになるにはどうしたら良いのか?どんなメディアになるべきなのかを改めて考えるタイミングとなりました。

さて、地域にとって唯一無二のメディアであるコミュニティFMとは、どういう存在になるべきなのでしょうか?これは単に方針ということ以上に、思想に近いかもしれません。

私自身は、コミュニティFMには「社会にあることが全てある」べきだと考えます。理想を言えば、県内のコミュニティFM、県域放送を含めて、それぞれが役割を担うべきだと思っていますが、それが現実的に難しい以上、すべてある状態を目指していくのが理想です。

例えば、最近知ったのですが、介護福祉の業務の中で、性的な欲求に対しての介助行為を行う団体があるということでした。言われてみれば当たり前です。身の回りにある社会問題の1つと言って良いでしょう。

ですが、障害者を扱うこと、性の話題を扱うこと、それぞれが敬遠されがちです。結果、障害者の性となると、もう扱い方がどうこう以前に、聞かなかったことになりかねません。一方で、芸能人の恋愛の話題。ゴシップネタはメディアに扱われ、芸能人の性に対して様々な憶測が飛び交います。

メディアとしては後者の方がネタになりやすい。しかし、仮にメディアが社会問題の媒介役という存在であるなら「社会にある課題/問題を知らない人に知らせる」なら、前者の方がメディアとして扱う価値があるネタであると言えます。

「ネタになりやすい」ことと、(社会課題を解決する)という意味で「ネタに価値/意味がある」というのは、トレードオフの関係にあります。なので、メディアとしてどちらを優先するのか、どちらを目指すのか、という考えをしっかりと共有しておくことが必要なのです。「障害者の性」みたいなトピックが出て来た時に、そのあたりが顕在化します。コミュニティFMのような地域メディアこそ、情報の扱い方のセンスが問われる存在であると考えています。

2013年9月4日水曜日

慣例や通例を疑う。

繊維のこともよくわからずに飛び込んでスタートしたnunotech。

その活動の中で、実際にモノづくりの現場に行ってみると「一般的にはこうなってます」とか「慣例としてこうしてます」とか「通例ではこうですね」とか、特に理由がわからないで現場で実践している場面に遭遇することがあります。

素材が変わったり、工程が変わったり、理由はいろいろなのですが、そのような「変化」を気にせず、昔ながらのまま取り組んでいるとすると、まぁほとんどの場合、非合理な状態に陥ってます。この合理性を突き詰めるだけで随分と効率があがるのですが、合理的であるかどうか、の判断がなかなか難しいところでもあります。

企業さんにてお話を聞いて、なぜ?、を繰り返して質問をしていくと、企業さんが何を大切にしているか、どんなことを考えているのかが、見えてきます。そして、その大切にしていることやそこに向けた想いや目的、関係性や繋がりの強さを見て行くと、業界の常識が合理的でないことに気づきます。

長い慣習の中で培われて来たものですから、その非合理性に気づきにくくなっているようです。一度、立ち止まって、見直すことも大切な時間です。

2013年9月2日月曜日

【コミュニティ】相談の種類。

いろいろなジャンルの仕事に関わっていると、様々な相談を受けることがあります。
そういうことが続くと、相談内容でその人のポテンシャルというか、思考というか、そういうものを良く感じ取れるようにもなってくるのですが、中でもコミュニティに関わるお話の傾向をわけると「相談」と「依頼」の2つの分かれます。

私の場合、相談は等価交換が原則で、依頼は対価が必要、と分けています。

前者は「私はここができる、あなたにここをお願いしたい」という相談になり、
後者は、「ここができないのでなんとかして欲しい」という依頼になります。

相談であれば、面白そうだな!のノリで出来ますが、
依頼であれば見積を送ることになります。

前者であれば一緒に出来るのでリスクもコストも持ちますが、
後者であればリスクもコストも持ちたくないので見積と請求という手順になります。


自分が人前で話しているとき、相手がどう受け止めているのか、少し気にかけてみるだけで、「相談」がスムースに進むかもしれませんが、弊社では、どちらの「相談」も受けさせて頂きます。宜しく御願します!






2013年8月27日火曜日

【Radio】コミュニティFMの運営コンサル

これまで私は、地域情報化、コミュニティFM、そして、nunotech、さらに、伝統芸能など、様々な「活動」に関わってきました。本来であれば、それらは「事業」として見るべきなのかもしれません。でも、それだけではどうにもうまくいかないのです。

自分自身、それらに関わっていてそれらに活動に関わって気づいたことをお伝えできればと思います。コミュニティFMは、プリコラージュです。しかも、地域活動と異なり、短期的な成果も必要になります。そのバランスが実に難しいところなのです。

・どうやって支出を抑えるの?
・売上を上げるアイデアが欲しいんだけど。
・多くのボランティアと共に運営したい!
・楽しい番組を作りたいんだよ!
・ためになる番組ってどんなの?
・行政との恊働のカタチを探りたい!

番組作り、運営体制、ボランティアの管理、各報酬、放送設備のことなど、考え続けないとならないことはたくさんあります。実際の経験から学んだ事柄が、少しでもお役に立てれば幸いです。

まずはご相談ください。

info@bless.fm

弊社、小保方まで



2013年4月16日火曜日

ラジオと繊維と伝統芸能と。

新しい年度になり、弊社ブレスも新しい体制へと移行していきます。

【Radio】
1つ目は、コミュニティFMのコンサルティングです。
弊社はFM桐生の開局より、企画・営業・制作などを行っており、運営体制の構築、人材育成、市民参加の体制つくりなどを実施してきました。最近では、SNSなどと連携した災害時の情報共有などをテーマにしたお話をすることもあります。

【nunotech】
2つ目は、地域コミュニティブランド「nunotech」の活動推進です。
NPO法人桐生地域情報ネットワークと協力して、桐生布テク協会の活動を推進しています。昨年は学生コンペを実施して、弊社ブレスの名義で、グッドデザインぐんまにエントリーしました。学生プロジェクトのアイテム2点を含む4点が入賞。うち、iPadケース「FB CASE」は、大賞にも選ばれました。今年は、販売にチカラを入れた活動を展開する予定です。

【Event】
3つめは、イベントです。テーマは、伝統芸能。詳細は後日紹介します。


まだ全ての内容をお話することはできませんが、改めて各プロジェクトの協力企業、メンバーとの体制を整えております。

ブログでは上記以外のことも更新していきますので宜しく御願します。

ーU.