2013年12月22日日曜日

【Radio】コミュニティFMの作り方 検討編④ 2つのタイプをどう選ぶか?その前に。

前回のエントリーから1月程経ちました。シリーズでお送りしております「コミュニティFMの作り方」。これまで、コミュニティFMをマスメディア型、ソーシャルメディア型の2つに分類し、それぞれのメリット/デメリットについて考えてきました。

それぞれのタイプを「会社概要」「売上状況」「番組作り」で説明してきましたが、今回から3回にわけて「どうやって選ぶ?」を考えてみたいと思います。

いくつかの視点があるのですが、一番分かりやすいのが「ボランティアの有無」です。運営にボランティア参加を促すにはメリット/デメリットがあります。そして、もう1つの基準が「資本形態」と「運営主体」です。これによって、スタート時に物理的な制約が生まれるため、ここはほぼ選択肢がない、というのが実際のところです。

この連載を見ている方の視点で言えば、実際には引っ括めて「経営」なのですが、前者のボランティアの有無は「運営の視点」、後者の資本形態や運営主体は「経営の視点」として、敢えてわけて考えた方が良いかもしれません。

さて、今回は、それらを考えるにあたり、その前提で常に見ておきたい「コスト」のお話します。とにもかくにも、すべては「コスト」とのバランスが大切です。

【番組制作のコストについて】
基本的には生放送の方がコストがかかりません。この場合のコストとは、何も出演者のギャラ的な金銭だけでなく、むしろ番組を作る手間を指します。
まず、1つは出演者、担当者の占有時間です。仮にスタッフの基本給を22万円とした場合、1ヶ月22日勤務で1万円/日。つまり、1250円/hとなります(まぁ実際にはそんな簡単なことではありませんが、ここでは話しをシンプルにするためにわかりやすくしております)。
で、1時間番組を収録して放送する場合、収録の後、編集作業があります。収録時間が1.5時間くらいの場合、編集するのに2〜3倍くらいの時間を要します。つまり、1時間の番組を作るのに、3時間かかる。3750円かかる、というわけです。仮に、1日に1時間担当すると75,000円/月が番組制作にかかるコストです。その間、スタジオも使えない、パソコンも使えない、もちろん、人は張り付いたまま、となります。
逆に生放送であれば、事前の準備に同様の時間をかけても、そこで終了。スタジオに入るまでは同じですが、その後は収録の場合の1/3となります(この視点で収録コストを下げる方法もありますがそれはまた別の機会に)。
さて、一方、編集とはどんなことをするのか?ということですが、単純に言えば「無駄を省く」ということです。果汁50%の1リットルのオレンジジュースで、100%のものを作ろうと思えば、500mlしかできません。1リットル欲しければ、2リットルの50%ジュースが必要となります。
つまり、内容次第ではありますが、ディレクターとしてOKラインを設定したら、それに見合った収録時間と編集時間が必要である、ということです。このことから、番組制作のコストとコンテンツの面白さはトレードオフの関係にあると言って良いでしょう。NHKの番組がおもしろいのは「コストをかけられる」というのが最大の理由です。

【その他のランニングコストについて】
番組制作のコストをランニングコストと切り離した理由は、基本的には売上に左右しにくいからです。例えば、放送素材の管理には、自動送出システムというのがあるのですが、これは全時間帯の番組を管理するテーブルを作って、それに乗っ取って放送素材が流れる仕組みです。なので、「どの時間に何を流すか」を常に全時間帯管理することになります。これはCMがたくさん入っていようかいまいが、24時間管理することは最初から最後まで変わらないわけです。むしろ、その素材制作の方がコストがかかります。クライアント数も増えれば係る時間も増え続けます。

その上でランニングコストを見ると、管理スタッフの人件費、家賃、光熱費、各種会費、放送素材の仕入、税金、システム管理費などがそれにあたります。ここはとにかく抑える、いかに抑え続けられるかがカギになります。

以上のことから、継続した運営には、
①番組の制作コストと面白さの関係をどの程度の基準で保つか。
②ランニングコストを如何に低い水準で維持できるか。
の2つがポイントとなるわけです。

ということで、次回は、コストとのバランスという視点から「ボランティアの有無」についてお話をしていきたいと思います。

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