2013年9月30日月曜日

【Radio】コミュニティFMの作り方 事前準備編② どんなラジオ局にしようか?

私が関わるFM桐生の開局以前、いくつかのコミュニティFMへの取材を行ってみて、様々なコミュニティFMの「メディア」としての姿勢の違いに驚いたものです。

簡単に言えば「同じような局はない」ということ。

それはコミュニティに起因しているからか?と考えていた時期もありましたが、どうも違うようです。それはメディアとしての基本コンセプト、基本スタンスの違いで、このいずれかのタイプから「どっちにしようか?」と選ばなくてはなりません。そして、選ぶと自ずと次々打ち手が決まって行くような根源的な分類なのです。

そのタイプですが、最終系は3つに別れます。ただし、スタート時点では2つです。
いずれかを選ぶということを、まず最初に行わないとなりません。

その2つとは、
①マスメディア型のコミュニティFM
②ソーシャルメディア型のコミュニティFM
です。
その先の③としてあるのが、折衷型として、地域メディア型のコミュニティFMです。
経緯はともかく、コミュニティFMは、最終的に折衷型を目指す、ということにはなりそうですが、その道筋は、最初にどこを選ぶかで大きく変わるのです。

コミュニティFMとリスナーの関係を簡単な矢印を使って示したいと思います。これは実際にどうかよりも「基本スタンス」を示していると考えてください。AとB、強いて言えばどっちが大切?みたいなことです。

「仕事と私、どっちが大切なの?」
「そんなの選ぶものじゃないだろ?」

とはいかず、

「マスメディアタイプですか?」
「ソーシャルメディアタイプですか?」

は選ばざるを得ない問いなのです。



そして、①と②の違いですを「何に主眼を置くか?」という点について言うと、
①は管理・統制
②は連携・協力
です。

では、次回では、2つのタイプのコミュニティFMについての概要を説明していきたいと思います。


2013年9月25日水曜日

【Radio】コミュニティFMの作り方 事前準備編① どんなラジオ局にしたいか?

コミュニティFMの作り方について、何回かにまとめていきたいと思います。

先日、とある企業が、コミュニティFMの設立のためのヒアリングに来てくれました。
だいたいどの局がこられても毎回聞かれるのは3つです。
 ①資本
 ②経理
 ③運営
コレです。

実際、この段階で、つまり、他の局にお話を聞きたい。という状況の時には、多くの場合、電波の空き状況の確認は終わっており、”周波数が取れそうだ”というところまでいって、ようやく「他所でお話を聞きたい」となることが多いようです。

ですが、この周波数の空き状況がわかった時には、運営したい、立ち上げたい、関わりたい、という数名の人が議論を重ねている段階に入っていて、その時にはすでに、運営案の話が出ている状況になっています。


さて、それはさておき、「電波の空き状況はある」「一緒にやってくれそうな仲間がいる」という状態でヒアリングに来ると、まずは聞きたいことを聞きます。
「運営は大変ですか?」と。で、「大変です」と答える
「どんなところが?」となると、売上が、スポンサーが、クライアントが、となる。
「どうやってますか?」となってくると、具体的な打ち手の話を説明し、そんな具合にどのように運営しているかをジワジワと聞いてくるわけです。

ひとしきり聞くと「大変だなぁ」となりまして「どうしたものか....」となります。


で、ここまで来て初めてこちらから質問します。

「では、どんなラジオ局であって欲しいですか?」と聞きます。
そして、「それはなぜか?」と繰り返しながら色々とお話を聞きます。
次に、「どんなラジオ局にしたいですか?」と聞きます。
そして、「それはなぜか?」と繰り返しながら色々とお話を聞きます。

これを繰り返していくことで、相手の方が目指しているラジオ局の姿が見えてきます。
それが明確になり、目的や方向性が見えて、ようやく①資本②経理③運営の話ができるようになります。

というわけで、まず最初は「どんなラジオ局にしたいか?」を明確に持つ事が大切です。
それが無ければ、仲間もお金も集められません。

次回は「どんなラジオ局にしようか?」と題したお話をしてみます。


2013年9月24日火曜日

【閑話】セブンカフェの案内に見る「親切さ」とは?


http://sevencafecoffeemakeradhocsignage.tumblr.com

これ、ちょっと前にも話題になりましたが、なかなか興味深い内容でした。

そもそも説明はなぜ書かれたのか?を想像すると、店員がお客さんに聞かれるのでしょうか。どこかどうなのとか?とか、わからないよ、なんて言われたりしてるのでしょうか。で、こうしたら良い、ああしたら良い、といろいろと案内が追加されていき、各お店が工夫を施しているのかな?なんて感じでしょうか。

その段階で見ると、元のデザインが汚されて?的な批判だったり、様々な創意工夫を創発させるプラットフォームとして面白い、という見方になったりしております。または、説明がないと売れないのかもしれない、ってこともあり得えるのかもしれませんね。


でも、実際に何回か買うと、説明など見る事もなくなり、ボタンも位置で覚えているようになります。お店の創意工夫は見なくなり、ボタンの文字すら読まなくなり、位置で覚えているのがわかります。どのお店にいっても機械が同じなので、迷うこともなく、さっくり買えるのです。そうなると、あのお店ごとの創意工夫というのは、私に取っては「いらぬ苦労」に映るわけです。

そこで、そもそものところに立ち返ります。

お店が案内に創意工夫をするのは、言い方を変えれば、お客さんに聞かれて答えるという行為を避けたことに始まります。そこで本質的な問題に突き当たります。

「お客さんに商品のことを聞かれないようにすることは、果たしてお客さんにとって、親切なのことなのか?」そして「お店にとって有益なのでしょうか?」という問題です。

仮に私がお店の店長だとしたら、恐らく、店員に直接、その都度、説明させていたと思います。興味を持った人に「どう買うの?」「これなに?」と聞かれれば、逆に売れるチャンスだと思うからです。
また、最初に説明を付けるとしても、それは導入時の問合せの多さによる通常業務の遅延や、それによって他のお客さんの迷惑になるのであれば、最初は説明を付けるかもしれません。でも、それはいずれ外される説明となりますので、それ用のものを思案し、タイミングを見て外すでしょう。


お店でお客さんに、セブンカフェについて聞かれた時に、さっと出て行って、店員が近くで身振り手振りで教える。そうすることで、セブンカフェは、店舗とお客さんとのコミュニケーションツールになる。そのようなお客さんとのコミュニケーション、昔ながらの商店の良さみたいなものを、コンビニが提供出来るチャンスと捉えた方が良いかもしれないですよ、というのが私の考えです。

つまり、私は説明を外した方がいい(笑)というスタンスですが、実は、毎回買う度に、逆にややこしく映るのです。さて、今後、どうなるのか、楽しみながら見ていきたいです。

このように、何か新しいものが入った時に、そもそものコンセプトにどう活かせるか?みたいな検討が不十分なまま、他人にとって「いらぬ苦労」に一生懸命になっていたりしませんか?確信がないまま多くの人たちの賛同を得られることによくある出来事なので、そのような場面に遭遇したら、本当にそうなのか?とよくよく考える必要がありますね。

2013年9月11日水曜日

【伝統産業】神師屋.jpとの連携

6月28日に神師屋.jpというティザーサイトがオープンした。
http://kamishiya.jp/130628_kamishiya_PR.pdf

ティザーサイトとは、情報の一部を公開したプロモーション用のウェブサイトだ。
ちなみに「神師」とは、「人気絵師」を指す造語である。

このプロジェクトのメンバーから、繊維製品の商品化についての相談を受けて検討しているところなのだが、その過程で、以前の記事でも書いた「繊維業界における強み」についていろいろと思慮している。

nunotechの活動でわかったのは、繊維にまつわる技術は、どこでも出来るものが多く、故に、何か製品を作ったとしても競争優位には立ちにくいということ。
ライバルが現れ「大量に発注することで価格を抑える」「販路を持ったサプライヤーが製品化に踏み切る」など、そんな想定をしたら、優位に立てるのは一瞬でしかないことがわかるだろう。継続性(10年〜15年程度)が見込めないのであれば飛び込むべきではない。
なぜなら、弊社自体に、技術や資金力や販路があるわけではないので、なるべく継続して取り組めるカタチを作ることに拘っていきたい。かっこ良く言えば、小さな勝負は捨てて、大事な一戦を確実にモノにしたい、ということだろうか。ヒットを打ち続けるという勝者がいることを否定しているのではなく、それは「技術力」に長けている場合でのみ有効な戦略である、ということ。

さて、神師屋とのコラボであるが、どこで優位性を保てるのか?
①人気絵師とライセンス契約を結ぶこと(神師屋)
②製造メーカーのビジネスとの融合を提案すること(nunotech)
③販路を持っていること(神師屋)

nunotechの技術は今のところ「提案」しかない。それぞれのビジネスが成立するような整理を根気よくやっていくことしかないのだ。それも自身のことのように主体的に。

2020年のオリンピックが東京に決まってお祝いムードの中、葛西臨海公園の開発の問題が話題として出て来た。「自然保護の観点で、再開発計画は問題だ!」と唱える人がいると、「知っていたら賛成しなかった!」と言う人がいる。そんな単純な話しだろうか?

時間とお金をかけてやってきたそれぞれの想いがあるものを、全く関わりのなかった立場で、白黒選ぶなんてことは私にはできない。そういう視点でA社とB社のビジネスの融合を真摯に考え、新しい価値を生み出すことをしていきたいと考えている。

オリンピックも自然保護も両立させられる知恵が生まれると信じたい。自分がこれからやろうとしていることの可能性と同じように信じたい。

2013年9月10日火曜日

【Radio】コミュニティFMに必要なものとは?

コミュニティFMにとって、何が一番大切なのでしょうか。

仮に、勝ち抜き線をやったとしたら、何が残るのかな、と考えてみました。AとBを比較して、大切だと思うものを残して、という具合にそれを繰り返していって、最終的に勝ち残るのは何か、です。

私が実際に関わって感じたのは「人が大切」でした。
何かを実施するのに必要なのは、結局のところ、ヒト、モノ、カネ、そしてアイデアです。

コミュニティFMにとってのモノとは、機材でしょうか。真新しい放送用機材にワクワクするヒトが集まってくるかもしれませんが、放送が好き=番組が作れるとはなりません。

コミュニティFMにはカネがある、だと、前提そのものがあり得ないことが多いです(笑。ですが、仮にそうなったとしても、一番の目的がカネでは、やはり番組作りやそこで取組べきことは後回しになりそうです。

コミュニティFMにはアイデアがある、となれば、ヒトは集まってくるかもしれない、カネも集まってくるかもしれない、結果、モノも揃うかもしれない。けど、アイデアを担保し、次々出して行くとすると、アイデアが帰属するヒトとなります。

コミュニティFMには魅力的なヒトがいる、となると、まず、ヒトが集まります、ヒトが集まればアイデアも生まれる。アイデアが生まれて実施できるヒトがいれば、カネもモノも集まります。カネとモノが集まれば、さらに優秀なヒトを雇える。

故に、ヒトが大切と考えました。

では、どんなヒトがいいのか?ということですが、それはまた別の機会にしたいと思います。

2013年9月7日土曜日

【伝統産業】技術の価値。

衣食住の最初にある「衣」。桐生市の地場産業である織物産業は、全ての産業界において、もっとも成熟した業界ではないだろうか。

それ故、企業における技術的な新規性など、ほぼ皆無に等しいと思って構わない。素材が開発される以外は、特許で縛られているものを除けば、繊維の技術は模倣可能である。同様に伝統産業は、多くの場合、模倣の危機にさらされているというわけだ。

さて、繊維業界の方と技術の話になると、皆「うちだけじゃないからね」と言う。だが、その仕事が、今、そこにあることに大きな意味があり、そこには然るべき理由があるのだ。それを紐解いて話を聞いて行くことで、ようやく企業の強みが見えてくる。

nunotechでは、企業の技術を「個性」「精度」の2つの視点で分析している。
両方とも4段階の評価で、それぞれが上位2段階以内、もしくは、片方が上位1段階にある技術であれば競争力がある、と考えた。つまりそれが企業シーズとなる。そして、この企業の強み同士を掛け合わせることでようやく、模倣困難性の高い、競争力ある技術が生まれる、としている。

さて、この企業技術のマトリックスは、歴史の長い産業においては特に有効だと感じる。市場のニーズばかりを見ることよりも、企業のシーズ同士を掛け合わせることに重点を置く事で、企業の既存技術の活かし方に新たな活路が見いだせのだと思う。


2013年9月5日木曜日

【Radio】地域メディアのリテラシー。

9月1日は防災の日でした。そして、9/2〜9/7は、群馬県内のコミュニティFM各局も防災週間として特別企画をお送りしております。いざという時に役立つメディアになるにはどうしたら良いのか?どんなメディアになるべきなのかを改めて考えるタイミングとなりました。

さて、地域にとって唯一無二のメディアであるコミュニティFMとは、どういう存在になるべきなのでしょうか?これは単に方針ということ以上に、思想に近いかもしれません。

私自身は、コミュニティFMには「社会にあることが全てある」べきだと考えます。理想を言えば、県内のコミュニティFM、県域放送を含めて、それぞれが役割を担うべきだと思っていますが、それが現実的に難しい以上、すべてある状態を目指していくのが理想です。

例えば、最近知ったのですが、介護福祉の業務の中で、性的な欲求に対しての介助行為を行う団体があるということでした。言われてみれば当たり前です。身の回りにある社会問題の1つと言って良いでしょう。

ですが、障害者を扱うこと、性の話題を扱うこと、それぞれが敬遠されがちです。結果、障害者の性となると、もう扱い方がどうこう以前に、聞かなかったことになりかねません。一方で、芸能人の恋愛の話題。ゴシップネタはメディアに扱われ、芸能人の性に対して様々な憶測が飛び交います。

メディアとしては後者の方がネタになりやすい。しかし、仮にメディアが社会問題の媒介役という存在であるなら「社会にある課題/問題を知らない人に知らせる」なら、前者の方がメディアとして扱う価値があるネタであると言えます。

「ネタになりやすい」ことと、(社会課題を解決する)という意味で「ネタに価値/意味がある」というのは、トレードオフの関係にあります。なので、メディアとしてどちらを優先するのか、どちらを目指すのか、という考えをしっかりと共有しておくことが必要なのです。「障害者の性」みたいなトピックが出て来た時に、そのあたりが顕在化します。コミュニティFMのような地域メディアこそ、情報の扱い方のセンスが問われる存在であると考えています。

2013年9月4日水曜日

慣例や通例を疑う。

繊維のこともよくわからずに飛び込んでスタートしたnunotech。

その活動の中で、実際にモノづくりの現場に行ってみると「一般的にはこうなってます」とか「慣例としてこうしてます」とか「通例ではこうですね」とか、特に理由がわからないで現場で実践している場面に遭遇することがあります。

素材が変わったり、工程が変わったり、理由はいろいろなのですが、そのような「変化」を気にせず、昔ながらのまま取り組んでいるとすると、まぁほとんどの場合、非合理な状態に陥ってます。この合理性を突き詰めるだけで随分と効率があがるのですが、合理的であるかどうか、の判断がなかなか難しいところでもあります。

企業さんにてお話を聞いて、なぜ?、を繰り返して質問をしていくと、企業さんが何を大切にしているか、どんなことを考えているのかが、見えてきます。そして、その大切にしていることやそこに向けた想いや目的、関係性や繋がりの強さを見て行くと、業界の常識が合理的でないことに気づきます。

長い慣習の中で培われて来たものですから、その非合理性に気づきにくくなっているようです。一度、立ち止まって、見直すことも大切な時間です。

2013年9月2日月曜日

【コミュニティ】相談の種類。

いろいろなジャンルの仕事に関わっていると、様々な相談を受けることがあります。
そういうことが続くと、相談内容でその人のポテンシャルというか、思考というか、そういうものを良く感じ取れるようにもなってくるのですが、中でもコミュニティに関わるお話の傾向をわけると「相談」と「依頼」の2つの分かれます。

私の場合、相談は等価交換が原則で、依頼は対価が必要、と分けています。

前者は「私はここができる、あなたにここをお願いしたい」という相談になり、
後者は、「ここができないのでなんとかして欲しい」という依頼になります。

相談であれば、面白そうだな!のノリで出来ますが、
依頼であれば見積を送ることになります。

前者であれば一緒に出来るのでリスクもコストも持ちますが、
後者であればリスクもコストも持ちたくないので見積と請求という手順になります。


自分が人前で話しているとき、相手がどう受け止めているのか、少し気にかけてみるだけで、「相談」がスムースに進むかもしれませんが、弊社では、どちらの「相談」も受けさせて頂きます。宜しく御願します!