2013年11月24日日曜日

【閑話】AppleのSIMフリー版の販売は、デジタルコンテンツ市場の発展と切り離せない関係にある。


AppleのSIMフリー版の販売。
そもそもAppleの戦略って?なんてことをFacebookで書いたのだが、むしろ、モノづくり企業の仲介業と通信事業者の仲介業の違いがより明らかになったことの方が興味深い。

丁寧なつなぎやさんを目指す弊社ブレスとしては、このAppleの戦略を勉強せずにはいられない!ということで、ちょっと考えてみましょう。

さて、ここで言う「モノづくり企業」とは、Apple、「通信事業者」とは、携帯電話各社、「仲介業」とは「コンテンツ販売」を指します。つまり、デジタルコンテンツ市場を横目に見ながらでないと肝心なところが見えません。

Appleは体験を提供するモノづくり企業。故に、何ができるか、ということを発信し、それができるのは、コレだよ、と製品を宣伝している。一方、携帯電話各社はまさに電話の契約数を取るための活動をしている。故に、うちの電話と契約すれば、こんなサービスが受けられる、と宣伝する。

Appleの場合、iPodを発売したのが2001年10月だが、iTunesのリリースは、2001年の1月で、それを考えると、それ以前にコンテンツ企業と、配信を前提とした契約を結ぶ方法を模索し終わっていた、のではないかと思われる(詳しくは後述)。

iPodで抱えたユーザが、iPhoneやiPadのユーザへと移行したり、iPodもiPhoneもiPadも製品を更新し、それぞれの製品が新たなユーザを抱えることで、iTunesの売上が落ちることはまずない。

一方で、auはリスモ、docomoはdミュージック、SoftBankはMUSICBOXと、iTunesの業態の上辺を見て、デジタルコンテンツの配信を整備したが、結局、付け焼き刃のような事業なので、売上を伸ばすのは相当な困難となる。なぜなら、契約数と売上が直結してしまうことと、それにデジタルコンテンツの販売に特化した製品市場も別にあり、それらを踏まえて、デジタルコンテンツ販売の市場に参入するというのだから金持ちしかできない。
ユーザからしてみたら、パソコンでも電話でも携帯型のデジタル製品でも、コンテンツに触れるのはなんでも良いけど、結局映像はテレビが良いし、音楽は持ち運べるのが良い。コンテンツ事業者は、販売窓口が増えれば単純に売上アップは望めるので、やりたいという事業者には、どうぞ、どうぞ、となるでしょう。

Appleは、自社の製品をコンテンツ化するために、メインとなる、音楽、映像、というコンテンツを抱えて、デジタルコンテンツ市場を下支えする製品作りを行って来たので、必然的に成長が望めるわけです。

他が取り合いを前提としている脇で、すっすーっと自社の価値を高めている。

日本の通信事業者は、シェア争い故に、他社との違い、自社の強み、を前提とした競争戦略が必要であるのに対して、Appleの戦略は、因果関係の積み上げによって作る競争戦略となる。理想的な競争のカタチだ。そう、本来は、競争にライバルはおらず、あるとすれば、自社は「何を」提供するのか?というシンプルな問いの中にある想いだけなのだ。想いに、良い、悪い、はないので、競争から抜け出すことが最強の戦略と言える。

なぜ、Appleはそのような戦略に行き着いたか、世界を1つの市場と見ているから。iTunesが日本市場で失敗しようとAppleにとっては大した問題ではないのだ。世界の市場における日本のシェアは、決して小さくはないだろう。だが、一方でアメリカから世界を、デジタルコンテンツという市場を、しっかり見つめて、その中に自社の製品がどうあるべきかを見据えているので、必然的に、日本もAppleの戦略の流れに逆らえなくなるのだ。つまり、遅いか早いかの時間の問題ではなく、結局は、Appleの戦略通りに日本市場は動くようになる。

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独り言:さて、弊社ブレスは「つなげる」をキーワードに活動している。nunotechでは、繊維産業において、様々な企業、技術、想いをつなげていく活動をしているわけだが、AとBをつなげるとき、ただつなげるのではその先に展開はない。つなげることで、成長を描けることが大切。その強みを提示することが、弊社がつなげることの意味になる。
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iTunesというアプリケーションで、デジタルコンテンツ市場を切り開いたAppleの戦略は、すでに大きな渦となり、引き戻されることはない。

デジタルコンテンツ市場にとって大切なのは、コンテンツをデジタル化する技術が本質ではない。その理由はAppleの戦略を見ればわかる。AppleのiTunesが素晴らしいのは、「まずは自分が買ったコンテンツをデジタル管理する」というところからスタートさせたことだ。この最初の一手は、レコード会社や権利団体のガードを下げたに違いない。だが、この後の展開は、権利者は予想していなかったのだろう。

「自分が買ったCDをデジタル管理する」→「買ったコンテンツを持ち歩きたくなる」→「デジタルコンテンツとして買いたくなる」→「デジタルコンテンツ市場が生まれる」

2001年1月  iTunesリリース
2001年10月  iPodリリース
2003年4月 iTunes Music Storeオープン
2006年8月 映像配信を開始してiTunes Storeに名称変更

デジタルコンテンツの市場がいよいよ大きくなりだした。
コンテンツをデジタル管理から、デジタルコンテンツの販売まで、2年以上を費やしている。如何にその間に既得権益者と戦っていたのか、想像するだけでワクワクしてしまう。そのあたりを映画化してほしいな。
で、本題。そして、

2007年6月 iPhoneリリース

結局、ここまで来てしまえば、ユーザは「電話もできるプレイヤー」を選ぶことになる。写真、動画を楽しみ、ついでに通話なのだ。

SoftBankは、国内でiPhoneの販売権を得て、それ以降はご存知の通りだが、実際には「ついでに電話ができるプレーヤー」を電話事業者が、躍起になって獲得しようとしていたに過ぎないのだ。そのついでの電話のiPhoneがいよいよ国内の3つの事業者を相手に、本領を発揮してきたのだ。大事件。

コンテンツと親密な関係を築くことで、自社製品をコンテンツ化させたAppleの戦略は、間違いなく進む。早い、遅いは大した問題ではなく、もう止めることはできないだろう。

では、通信事業者はどうあるべきか。

純粋に、電話を売ればいいのだ。それに今気づいているのは、ウィルコムだろう。回線は引いてある、メンテをするだけのコストなら、過剰サービスで通話基本料を暴利する必要はなく、電話に特化したサービスをすべきなのだ。だが、通信3事業者は、大きくなり過ぎた。

このように因果関係を丁寧に見て行くとなるようになっていることがわかる。さらにその視点で企業を見ると、いく末も見えてくる。だからこそ、弊社では「つなぐ」ことを徹底してサービスしたいと感じてる。

さて、いくつかの成果が今年中にお目見えすると思います。お楽しみに!

2013年11月20日水曜日

【Radio】コミュニティFMの作り方 検討編③ ソーシャルメディア型コミュニティFM

しばらく空いてしまいましたが、この間にいろいろな発見がありました。
特に、ちょうど1ヶ月前に地元桐生で開催したKiryu Music Fronts 2013は、様々な問題提起のある有意義なイベントとなりました。

さて、シリーズでお送りしております「コミュニティFMの作り方」。これまで、コミュニティFMをマスメディア型、ソーシャルメディア型の2つに分類し、それぞれのメリット/デメリットについて考えてみようと進めてききました。

今回は、今オススメしているソーシャルメディア型コミュニティFMについてのお話です。前回同様にヒト、モノ、カネについてお話していきましょう。開局相談でよく聞かれる「会社概要」「売上状況」「番組作り」です。



まずは、「モノ」会社です。
チェックポイントは、「資本家と経営者」の関係です。さらに2つのタイプに分けます。
【資本家=経営者の場合】
 ・大企業も含めて中小企業にも多いタイプだろう。
 ・基本的にはワンマン経営になりがち。
 ・基本的には同族経営になってる。
 ・よくも悪くも身の丈にあった経営になりそう
 ・ポイントは公共電波であることと個人の擦り合わせをどこに取るか、という点。
 ・個人が公人としての視点をどれだけ持てるのか、という点。
【資本家≠経営者の場合】
 ・会社の運営方法としては一般的だがコミュニティFMのように「強い想い」
  みたいなものが出発点の場合、よほどの限り、これはないかと。。
 ・経営のプロが居ると心強いし、そうでないと大変です。
 ・ちなみに、FM桐生はこのパターンです。
【共通】
 ・小回りは効きやすい。
 ・意思決定までの時間が短く、意思決定のハードルは比較的低い。
 ・コアメンバーの資質が体制の資質と近似してくる。
 ・人が中心となるため、既成事実からの移行にハードルがある。
 ・一方で、横断的な協力体制が作りやすい。
つまり、連携・協力の傾向強い。



次に、「カネ」売上状況です。
チェックポイントは、ここでも「売上の比率」です。
 →放送事業の売上の中身について聞いてみてください。
 ・個人のネットワークは営業でも活かされて、まったく知らないところへの
  営業は割合的に低くなる?
 ・比較的小額、スポンサー数が多くなる傾向がある。
 ・スポンサー数が多いと軒並み右へならえみたいなことも減りリスクが減る。
 ・相手が多いということはケアの方法も考えないとね。
 ・ただし、ある時に営業先、売上が、頭打ちになる。
 ・そうなると新しいところをどうやって開拓するかがカギ。
 ・新しい人を入れて、リーチできる先を増やすのも1つ。
というわけで、人が組織の中心になると、お金のメンでも連携と協力がカギ。



最後に、「ヒト」番組作りです。
チェックのポイントはマスメディア型と同じく「自主制作比率」です。
 →コンテンツの多さは関わるヒトの多さに直結します。
 ・関わる人が多いと管理の仕方も変わる。
 ・コンテンツを人に委ねることで管理コストの軽減ができる。
 ・定期的に意識の確認などを行っていきたい。
 ・関わる人が多いと聞く人も多く、ある段階でリアクションも増える。
 ・番組をやりたい、という声が集まりやすくなり、
 ・結果、さらに番組に関わる人が増える。
 ・新たなコミュニティとの繋がりなどが、そのままコンテンツ数に直結
 ・まさに芋ずる式でコンテンツ量は増えていく。
 ・増えることでクオリティのばらつきが生まれる。
 ・定期的に交流会などを企画してみたりして、ボランティアも含めた
  スタッフ同士が切瑳琢磨しやすい環境を作れる。
というわけで、連携、協力がカギ。CD寄贈したいんですけど、なんて方もたくさん現れてきます。


このように、ソーシャルメディア型だと、想いを持った人から派生して、連携・協力の輪が広がるイメージなんです。ジワジワと確実に認知度、参加者が増えていくことになります。関わる人が多いということは、接点が増えるためトラブルがちになります。ただし、これは、トラブルにならないようにすれば良いのであって、関わる人を減らせば良い、ということではありません。

結局は、どんな放送局であるべきか、どんな放送局にしたいのか?が大切なのです。もっと言えば、なぜ、ラジオをやりたいのか?というところから積み上げて行くことで、自ず自分の身の回りのことが見え、自然と道が開けて行くものです。

関わる人が多くても、同じ失敗を体験したり、体験を共有することで、自社の文化が生まれてきます。その言語化が実に難しいところでもあります。

さて、次回は、マスメディア型とソーシャルメディア型の2つから、自社の文化をどう作るのか、という点についてお話します。