シリーズでお送りしております「コミュニティFMの作り方」。今回と次回でソーシャルメディア型とマスメディア型、2つのコミュニティFMのヒト、モノ、カネについて、お話します。私が関わるFM桐生は、ソーシャルメディア型寄りなので、マスメディア型はヒアリング等によって得た見地であることをご了承ください。
開局相談でよく聞かれるのが、「会社概要」「売上状況」「番組作り」あたりでしょうか。その他に聴取率なんてのもありますが、運営に関わる内容ではないので省きます。
まずは、「モノ」会社概要です。
チェックポイントは、「行政が資本参加をしているか、いないか?」
→運営企業に資本参加しているとマスメディア型になる傾向は強いです。
・公共施設や公共空間にスタジオや事務所を構えやすくなる。
・第3セクター方式だと大手メーカーのコンサルを入れたがる。
・その結果、高価な専用放送システムでスタジオが作られる。
・機材は壊しちゃいかん!となり、スタジオ卓を触れるのは局内の数人になる。
・このヒトがいないと困る、という状況だと人件費も高くなることもアリ。
・その結果、役割分担が明確になる。
というわけで、管理統制の傾向に向かっていきます。
次に、「カネ」売上状況です。
チェックポイントは、「売上の比率」です。
→放送事業の売上の中身について聞いてみてください。
・30%超えとか40%超えとかは規模によりますが、
放送事業に巨大スポンサーがいることが多い。例えば行政だったり。
・地域の大手企業が軒並み出稿していたりする。右へ習えで全員参加。
・仮に全員撤退に右へ習えとなることを想像すると恐ろしい。
・代理店を入れて対応し、リスクとコストを軽減するのもアリ。
・各企業へしっかりした対応をするには担当者を明確にしよう。
というわけで、やはり、管理統制の傾向に向かっていきます。
最後に、「ヒト」番組作りです。
チェックのポイントの1つが「自主制作比率」です。
→コンテンツの多さは関わるヒトの多さに直結しがち。コミュニティ放送では、60%以上ということで、過半数を目標にしましょう、と言われています。
・よほど優秀な人材でない限り、番組作りは担当者のカラーの域を出ることはない。
・関わる人が少ないのは、視点の少なさに繋がり、出せるカラーが偏りがち。
・執行部の守備範囲を出る案件の判断はしにくい。
というわけで、どうしても管理統制の傾向に向かっていきます。
このように「出資に行政が参加している」のは、管理統制の方向性に向く最大の要因です。資本の中身次第ではありますが、行政の資本がベースにあるなら、スタート時は管理統制の方向になりそうですし、実際、その方が無理なく行きそうです。ただ、その労力/コストを考えると....実に悩ましいところです。
では、なぜ前回の記事で、ラジオ局とリスナーの関係を考えることが大切か、と申し上げたかと言いますと、進むべき行き先を、ぼんやりとでも常に見つめていく必要があるからです。コミュニティFMに限らず、会社の運営には、スタートとゴールを、状況を加味した戦略で繋ぐことが大切です。よって、スタート地点をしっかり意識し、そして、向かう先も常に見つめているべきなのです。
さて、次回は、ソーシャルメディア型のコミュニティFMでも同様に見ていきたいと思います。
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