2014年6月30日月曜日

【閑話】日本代表が取るべき戦略について

ワールドカップでのグループリーグ敗退が決まり、様々なサイトで「分析」が流行っておりますねー。私も相乗りしちゃおうかと思っての投稿です。便乗ですが、アップ忘れました!下書きはあったんだけど...

さて、コンテクストプランナーという視点で、ワールドカップを捉えると、本当にハラタツノリです。ふがいない戦いっぷりが残念でなりません。生卵を投げる人の気持ちがわかります(笑。

問題というか、課題は多岐にわたりますので、いくつかの段階に切り分けていきたいと思います。で、戦略的に、何が間違っていたのか?と言われると「全部間違ってましたね」となるので「どうすればよかったのか?」をまとめていこうかと。

この内容は、選ばれた選手に向けて書いております。

【目標の設定】
どんなことをやるにも、目標は必要です。これがないとどこに向かっていいのかわからないですね。選手によって語る目標はいろいろでしたが、「成績」としての目標は、多くの人たちが期待するところなので、「優勝」って言っておいた方がよかったですね。
ここはリップサービスで結構、それでいいんです。その方が盛り上がりますから。ここでベスト8とか言われても「途中で負けるつもりなんだ」と思って興ざめです。

【ルートの設定】
さて、「目標はリップサービスで構わない」とお話しましたが、目標に向かったルートは設定しないとなりません。実は、今回のワールドカップの最大のポイントはココでした。
「優勝」を単純化すると、「点を取る」ことと「点を取られない」ことを「両立」させ「勝つ」ことを「続ける」ことで得られる「結果」と言えます。
つまり、「結果」は、「勝ち続ける」ことなので、「目の前の試合に勝つ」ことの積み重ねでのみ実現できるものです。「勝つこと」こそ、「やるべきこと」であり、「結果」は考えなくて良いのです。アタマの中から捨ててください。むしろ「やるべきこと」のみに集中するトレーニングが必要です。

よく選手が「次の試合に集中して」と言いますが、この言葉、どのような意図があるのですか?私は、本当に集中していたら、こんな表現はしないのではないか?と思います。集中している状態だとすると、「どう戦うか」の戦略がアタマの中をグルグル駆け巡っているはずです。そのイメージがない、または、準備が出来ていないからこそ、自分に言い聞かせているのではないかと感じるのです。

【戦略の設定】
続いて、肝心な戦略についてです。
「勝ち続ける」には、目の前の試合に「勝つ」ことが大切だと言いました。で、「勝つ」ためには、「点を取る」ことと「点を取られない」ことを「両立」させることとお話しました。そして、次にこれを切り離します。
「点を取る」はどう実現するかということで言えば、「早いパス回しで相手のディフェンスを切り崩して行く」という戦略はどう実現するのか、と考えてみましょう。
「早いパス回し」をどう実現するのでしょうか?動きながらであれば2名いれば十分です。3名になれば、さらにパスの出し先の選択肢が増えます。2名、3名どちらでもOKですが、「パスを回し」ながら、「外に逃げる」のか、「中央へと切り込んで行く」のか、動き回るのは、人がいないところなのか、ゴールに向かってなのか、選択肢はたくさんあります。その可能性を全部検証し、試してみたのでしょうか?それとも絞り込んだのでしょうか?

例えば、「パス回しは2名を基本にし、人がいない方向に流れながら背後の選手の飛び出しに合わせてパスを出す」くらいの戦略に絞り込みます。

という具合に「決める」必要があるのです。なぜなら、このように設定をすると、「3人目の存在が必要」であることを選手間で共有できるのです。つまり、「2名でパスを回せる状況」をどのような状態に定義し、その瞬間に後ろから飛び出す「3人目を誰がやるのか」ということが確認できます。
正直、どんな戦略に絞り込んだらいいかはわからないです。選手の方がそこはわかると思います。ですが、そのようにディティールを決め、それ以外の多くを切り捨てるとやるべきことが明確になります。どんな相手にも対応できるシンプルな戦略を探して、それに設定する必要があるのです。
同様に崩した後にどうやって「点を取る」か、どうやって「点を取られない」かを決めていきます。
所謂強豪国が強いのは「点を取るイメージ」の共有が瞬時に成されているからだと思います。でないとあんなに早い動きだしで、シンプルな数本のパスで得点することは難しいからです。

【戦術の設定】
これは場面、ロケーション、時間帯、試合を構成する要素を分解し、その組み合わせによって、どんな戦い方をするかをシミュレーションしておくことです。
「攻める」「守る」は、いずれも、「リードしている時」「リードされている時」「スコアレス(同点)の時」の3種類しかありません。組み合わせで言えば6種類です。
ここでのポイントですが、サッカーの勝敗は、何に影響されるかを考えることです。例えば、個人の能力に影響されるのか、普段プレイしているリーグの強さに影響されるのか、などを突き止めます。私自身は、上記の二つは少なからず勝敗を影響するものだと思っています。そうなると、戦術で6種類は多すぎます。せめて2〜3種類くらいに絞りたい。
①「リードされている時に攻める」
②「スコアレス(同点)の時に攻める」
③「リードしている時に守る」
この3つで良いでしょうね。そうすると、
④「リードされているときは守らない」
⑤「スコアレスの時には守らない」
⑥「リードしている時には攻めない」
以上を選択したことになります。具体的にどうするかというと後者の3つの場合は「考えない」ということです。忘れていいです。

と、このように、自分たちがやるべきことをチームで整理し、チームで選択し、そのプロセスをチームで共有することが大切なのです。そして、結果は考えない。目の前の1点を取ることのみを常に考える。点を取ったら取られない守り方をする。もし取られたら、「リードされている時に攻める」に切り替えるだけ。自分たちがやるべきことをもっとロジカルにシンプルにしてあげる必要がある、と思うのです。11人のイメージを揃える必要があるのです。


なぜ、そんなことを言うか、というと、先の「勝敗は何に影響されるか?」に関係します。他のチームに比べて、日本のチームは、成熟度が幼過ぎるのです。プロリーグが出来て20年の国のチームが、ヨーロッパ、南米のチームと戦うには、歴史がなさ過ぎるのです。歴史がない故に、それをカバーする戦略と戦術が必要であり、歴史がない故に、敵わない敵であることを十分に理解する必要があるんです。だから負けることは恥ずかしくないし、とにかく通じる戦術、戦略を一つでも多く獲得することが「勝ち」に繋がる。リップサービスで優勝目指す!と言いながら、緻密な計画を一つ一つ実行する。手応えを感じ、必要に応じて修正していく。

この大会では、強いチームというのは、高い次元での「イメージの共有」がなされていると感じた。得点のイメージ、ディフェンスのイメージ、パス回しのイメージ、だから、見事に機能する。これは経験と歴史に他ならないと思う。日本のチームも最終戦にはその兆しが見えたが、点を取られた現実という壁に対して、心が折れてしまう。「勝つ」つもりで望んだら、そんなことになるのは目に見えています。そうではなく、勝つために必要な「目の前の1点」に集中していたら、最後まで集中力は切れることはなかっただろう。

途中交代の香川の表情は、悲壮感たっぷりで、他のメンバーが戦っているにも関わらず、終わったような表情だった。それはチームとしてやるべきことを共有していない証拠でしかない。目の前の1点を取ることに本気で共有できていたら、ベンチに下がってもそのために出来ることを探したはずだ。

戦略と戦術の共有の仕方次第では、決勝リーグにて高成績を残すことも出来たと思う。だが、心の置き所、目標の設定方法、共有の方法含めて、様々なものを切り離して、やるべきことをシンプルに理解できるよう、メンタルをトレーニングする必要がある。情緒的な日本人には、本当に必要なトレーニングだと思う。自分で噛み付いたとしても当たっただけだと言えるタフさは、日本人にはない。それは良さでもあるが弱点でもある。弱点を補うのは、やるべきことをシンプルな事柄に落とし込んで、余分なことを考えないことだ。僕たちはこれをする、という具合にね。

周囲がなんて言おうと、戦うのは選手達だ。だからこそ、選手が選手を理解し、尊敬し、尊重し、という関係のチーム作りが必要だ。そしてその中で行われるコミュニケーションが重要だ。試合前に休息の1日は有効に使えなかったようだった。ちゃんとしたコミュニケーションができたら、日本のサッカーは、世界の歴史を変えられるくらいの独特のものになると思っている。コミュニケーションサッカー。ボールが納まった場所からスイッチオン。それを合図に全体が一気に動き出す。的確で短い数本のパスで相手ゴール前に突入。なんて試合を想像したいね。


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